2015年3月11日水曜日

Blue Boxのホステッドプライベートクラウド!
                            -Private Cloud as a Service-

日本では馴染みが薄いが、今回は、今、注目されているBlue Boxについて紹介して見ようと思う。というのは、昨年下期は大手企業による中堅クラウド企業の買収が幾つかあったEucalyptusCloudscalingMetaCloudなどだ。オープンソースのEucalyptus以外は、今や人気のOpenStackベースである。しかし、彼らには事業継続の資金が集まらなかった。市場はPrivate CloudではOpenStackだという流れが鮮明になっているにも関わらずである。投資家たちはこれらスタートアップを育てる時期が終わったと見て、売り抜けたのだ。彼らは市場は大手数社の手の内にあり、Eucalyptusを買ったHP(詳細はここ)やMetaCloudのCisco(詳細)、さらにはCloudscalingのEMC(詳細)などはチャレンジャーだという認識だ。そのような中にあってBlule Boxは違っていた。 

=これまでに集めた資金は30億円超!=
同社の創業は2003年8月。iTunesが流行り出した頃だった。開発には紆余曲折があった。そして辿り着いたのがOpenStackによるPrivate Cloudだ。2012年1月のSeries-Aは$4.3M(5.16億円)。2013年10月にもSeries-Aで$1.5M(1.8億円)。2014年3月にはDebt Fainancingで$3,3M(3.96億円)。Sries-Bは昨年10月に$10M(12億円)、続いて今年1月に$4M(4.8億円)が追加され、総計$26.6M(約32億円)となった。中堅他社が資金繰りから買収される中で、昨年秋から年初めにかけて$14M(16.8億円)を集めたのだ。(1㌦=120円換算)

=Blue Box Cloudとは何か!=
 ではBlue Boxの戦略はどうなっているのか。左図のように彼らのポジションはPublic CloudとPrivate Cloudの中間だ。Public Cloudは周知のように、①弾性(Elasticity)があり、②経済的(Open Economics)で、③使い易く(Easy of Use)、④適用が短時間(Time to Implement)で済む。一方、Private Cloudはこれらの要素には難があるが、自営センター内であるため、①データの主権(Data Sovereignty)や、②システムの環境制御(Environmental Control)は十分であり、③コストの予測性(Cost Predictability)があること、さらに、④センター内のLAN速度並みのハイブリッド化(Hybrid Capabilities with LAN Latency)が出来る。つまり、Blue Box Cloudは、Public CloudとPrivate Cloudの難点を補うクラウドサービスを目指している。キャッチフレーズは‐Private Cloud as a Service(PCaaS)‐、狙いはPrivte Cloudをサービス提供しようというものである。 

=Blue Boxの仕組み!=
次にBlue Box Cloudの仕組みについて見てみよう。
Blue BoxはPublic Cloud as a Seriveのために、①OpenStackをインフラとし、②専用ハードウェア-Dedicated Hardware上で、③シングルテナント-Single Tenantとして提供される。ユーザは自社のアプリケーションを開発するだけ、後は彼らがこのクラウド上に展開してくれる。Blue Boxのサービスはオーケストレーション技術を使い、ネットワークもデータベースも注文通り、仮想化だってKVMでも人気のDockerだって構わない。個々のユーザニーズに応じたオーダーメイドで、Public Cloudのセルフサービスとは大違いだ。つまり自社センタのクラウドがBlue Boxに移動したような気になる。昨年11月のOpenStack Summit Parisでは、①SwiftベースのObject Storage、②Nimble StorageによるCinderのBlock Storage、③Tesoraの技術によるOpenStack TroveのDBaaS(DataBase as a Service)、④Juniper NetworksのFirewallなどが追加された。

=この路線を突っ走れるか!=
Blue Boxは本社のあるシアトル(西海岸)とアシュバーン(東海岸)、チューリッヒ(欧州)の3センターで現在、PCaaSを運営する。この2月には米大手SIerのAlliance Technology Ggroupと提携し、ターンキーのソリューション提供も開始した。しかしこの分野はDatapipeやVirtustreamなどが先行している。Blue Boxの強みは、このところPrivte Cloudで人気のOpenStackだ。 先月の25日には、HPのOpenStackクラウドHelionにとって初の大型取引がドイツ銀行との間で決まった(プレス発表)。独自OpenStackディストリビューションでSIビジネスを走るMirantisは、何と$100M(120億円)という投資をSeries-Bで集めた(プレス発表)。Blou Boxがこの流れに上手く乗ることが出来ればレースから抜け出せる。