2015年4月10日金曜日

HPからアプライアンスなど続々・・・
          -Hellion Rack、Cloudline、Content Depot!
                -Helion Public Cloudは?

HPから3月末、OpenStackベースのアプライアンスHP Helion Rackが出た。
これはハイブリッド化の動きを睨みながら、その前提となるプライベートクラウド市場に向けたものである。Helionは昨年5月からスタートして約1年となるクラウド戦略ブランド名だが、その前身はConverged Cloudだ。HPの判断はクラウド戦略を完全にOpenStackベースにすることだった。その回答がHelionである。

=プライベートクラウド向けのHP Helion Rack=
HP ProLiant DL360
今回登場したHelion RackはProLiantにIaaSとしてHelion OpenStack、PaaSにCloud Foundaryをプリコンフィギュアードしたものである。対応するラックサーバはHP ProLiant DLだ。このサーバにOenStackとCloud Foundaryを組み合わせ、工場でインストールとチューン/テストを実施して出荷する。これによって企業ユーザは導入からPrivate Cloudの展開までを大幅に短縮できる。ユーザの期待は、①クラウドネイティブアプリの開発が出来ること、勿論、②迅速なインフラ展開が必須、そして、③安全で各種の標準化に準拠してワークロードの拡張性ができることなどだ。導入にあったては DLシリーズのどのモデルにするか、構成はどの程度かなど、まずはHPのコンサルティングを受けることがよさそうだ。 

=OCP仕様のプロバイダ向けHP Cloudline=
HPはHelion Rackより先の先月初めにはHP Cloudlineも発表している。目指すはサービスプロバイダ向けのテイラードシステムである。このサーバは台湾のFoxconnとの間で設立した合弁会社のODM製品である。一般にOEM(Original Equipment Manufacturing)は委託者の設計で受託者が製造、委託者ブランドで出荷する。対して、ODM(Original Design Manufacturing)は設計から製造まで受託者が行い、委託者ブランドで出荷する。つまり、Cloudlineは設計から製造までHPは関与せず、Foxconnに任せた格好だ。そのCloudlineの最大の特徴はOCP(Open Compute Project)に準拠していること。そしてプロバイダ向けのため、各ユニットに電源やファンはなく、それらはプロバイダのラックから供給される設計だ。製品ラインナップは命令処理主体のコンピュート向け、ストレージ依存度の高いものなどがある。 

=HP Helion Content Depot= 
HPからは既にHP Helion Content Depotも出ている。今日、データの90%は人間のインタラクションから発生すると言われている。これら膨大なデータ管理の痛みを和らげるのがHelion Content Depotだ。このアプライアンスはバックエンドシステムとしてOpenStack Swift(オブジェクトストレージ)を搭載し、フロントのOpenStackベースのHelionと連携する。企業ユーザはこれを自社データセンタ内に設置するだけでなく、HPパートナのデータセンタに置くことも出来る。



=Helion Public Cloudは?=
以上見てきたように、Helion関連サーバの拡販に力が入ってきた。
HPファンやOpenStackファンなら、これらの製品を選ぶかもしれない。ただ、市場には多くのアプライアンスが出回っている。古くはVMwareを搭載したVCEこれは進化してVCE Foundation for Federation Enterprise Hybrid Cloudとなった。最近ではMicrosoftがDellと組んで始めたCloud-in-a-BoxのCloud Platform Systemなどだ。しかし、HPのこのようなアプライス化の動きは、何か戦略変更の予感がする。折も折、4月7日、Helionビジネスを統括するSVPのBill Hilf氏はNew York Timesのインタビューに、「ユーザが我々からコンピュータを買うように、クラウドでも借りてくれると考えていた“We thought people would rent or buy computing from us,”」、しかし、「そう短絡的ではないことが解る“It turns out that it makes no sense for us to go head-to-head.”」と答えた。思い出してほしい。昨年10月、CEO Meg Whitman女史はHPを2つの会社に分離することを発表した。ひとつはPCやプリンタを扱うコンシューマ向けのHP Inc.、もうひとつはエンタープライズ向けのHP Enterpriseだ。冷静に考えると、このような大転換期では、Helionは、ビジネスとして成り立ち難いPublic Cloudよりも、アプライアンス化に向かうことが必然なのかもしれない。次なる変化を注目したい。